全国「乗り得列車」総まとめ2020〜運賃だけでリクライニングシートの旅
ひと昔前よりは減ったものの、運賃だけで特急の椅子に座れるような「乗り得列車」がまだまだたくさんあります。この記事では、以下の基準に沿って全国の乗り得列車を選びました。
※(2020/3/7更新)2020年3月ダイヤ改正を反映しました。
掲載基準
- 運賃のみで乗れること
- リクライニングシートに座れること
指定席料金の要る観光列車や有料ライナー列車は外したので基準はちょっと厳しめです。また列車の速さは考えていません。
北海道エリア
キハ54系(道北道東エリア)
宗谷線や釧網線など酷寒地の普通列車に使われるキハ54系の一部には、かつて特急車に付いていたリクライニングシートが転用されています。以下の3パターンがあるようで、運用はほぼランダムですが、ルパンラッピング車だけは運用が公開されています。
- 元キハ183系のリクライニングシート(集団見合い式に固定)
- 元789系のリクライニングシート(ルパンラッピング車のみ、集団見合い式に固定)
- 元0系新幹線の転換クロスシート
いずれの車両とも車両の端はロングシートです。この記事の趣旨には反しますが、転換クロスシートでハズレなく車窓を眺められるのが一番かもしれません。
スーパーおおぞら/とかち(新夕張〜新得)
もともと普通列車が全く走ってないこの区間では、運賃のみで特急列車に乗ることができます。片道1時間も乗れるのでかなりお得ですが、1駅でもはみ出したらアウト!全区間の運賃+料金が請求されるので、ワープ費用を抑えたいなら新夕張で次の特急を待たなければなりません。
721系・733系普通列車(札幌圏)
新千歳空港へのアクセスを担う快速「エアポート」の4号車はリクライニングシートを備えたUシート車両で、通常は指定席として販売されています。しかし、「エアポート」仕様車が普通列車の運用に就く時は、Uシートも無料開放されています。札幌圏の6両編成の普通列車には基本的にランダムで入るようですが、確実に乗りたいなら札幌で普通列車に変わる朝夕の「エアポート」を狙ってみると良いでしょう。今後はフリーWi-Fiも設置され、さらにお得感が増す見込みです。
すずらん(東室蘭〜室蘭)
札幌と室蘭を結ぶ特急「すずらん」は、東室蘭で本線を外れると普通列車に変わります。なお、朝の1往復は東室蘭で普通列車に乗り換えとなり特急型には乗れません。引退の迫る785系に手軽に乗車できます。
運行時刻
- 東室蘭12時54分発→室蘭13時5分着
- 東室蘭15時26分発→室蘭15時38分着
- 東室蘭17時34分発→室蘭17時49分着
- 東室蘭20時19分発→室蘭20時30分着
- 東室蘭23時32分発→室蘭23時44分着
- 室蘭5時25分発→東室蘭5時36分着
- 室蘭6時54分発→東室蘭7時6分着
- 室蘭13時38分発→東室蘭13時49分着
- 室蘭16時30分発→東室蘭16時41分着
- 室蘭18時12分発→東室蘭18時23分着
- 室蘭20時9分発→東室蘭20時23分着
東日本エリア
つがる・リゾートしらかみ(新青森〜青森)
新幹線から青森駅へのアクセス列車が少ないため、この区間だけ特急の指定席・グリーン車以外は全て無料開放されます。走行時間は5分間だけですが、青森駅で早めに乗れば長く座っていられます(笑)。ただし、「リゾートしらかみ」では指定券を持ったお客さんが来たら席を譲って下さい。
リゾートうみねこ(久慈〜八戸)
キハ48系を改造した観光列車ですが、他と違って定期列車を置き換えて走るため車内の大半が料金不要の自由席になっています。先頭車は指定席、中間車は座面が畳敷きのボックスシート、そして後部車両がリクライニングシートの自由席です。中間車が座席数は多いものの、座り心地はあまり良くないです。また、八戸市内を中心に地元客で混雑します。
※(2020/3/7追記)2020年3月末をもって廃止となり、通常の車両に変更されるようです。
快速はまゆり(盛岡〜釜石)
岩手県を横断する快速「はまゆり」は、急行時代からリクライニングシートを備えた専用車両が使われています。格下げ以降は一般車両も混結されていますが、指定席は必ずリクライニングシートです。自由席車の方は運次第ですが、外れてもキハ110系のボックスシートはフカフカなので快適な旅が約束されます。
運行時刻
- 盛岡8時42分発→釜石10時50分着
- 盛岡11時42分発→釜石13時57分着
- 盛岡17時10分発→釜石19時36分着
- 釜石7時43分→盛岡10時2分着
- 釜石10時14分発→盛岡12時32分着
- 釜石14時19分発→盛岡16時40分着
快速列車(村上→新潟)
村上21時17分発の新潟行快速列車は、下り「らくらくトレイン村上」のE653系(特急型)がそのまま使われていますが、グリーン車は封鎖されているようです。かつては「ムーンライトえちご」の前運用で、その頃はグリーン車まで運賃だけで乗れた超お得な列車でした。
運行時刻
村上21時17分発→新潟22時12分着
651系普通列車(いわき〜富岡)
常磐線のいわき以北はもともと仙台側の交流車が使われていたものの、震災で寸断されてからは水戸側の車両しか入れなくなりました。車両の不足を補うため、E657系に置き換えられた元特急車である651系が一部の普通列車に使われています。浪江方面のバス(これも観光バス仕様で快適!)との接続が良い列車が多く使いやすいです。なお、座席は全てボックス配置になっています。
※(2020/3/7追記)2020年春の全線再開以降は全てE531系などの一般車両に統一され、651系の運用は終了するようです。
AIZUマウントエクスプレス(東武日光〜喜多方)
AIZUマウントエクスプレスの一部列車にはリクライニングシートを備えたAT-700形が使われていますが、転換クロスシートのAT-600形が来ることも多いです。
運行時刻
- 鬼怒川温泉10時1分発→会津若松12時2分※週末を中心に喜多方発に延長される日もあり
- 会津田島13時28分発→会津若松14時35分着
- 東武日光16時33分発→会津若松19時55分着
- 会津若松6時58分発→鬼怒川温泉9時9分着
- 会津若松7時52分発→会津田島8時58分着
- 会津若松12時54分発→東武日光15時53分着※週末を中心に喜多方発に延長される日もあり
リバティ会津/けごん(下今市〜会津田島/東武日光)
下今市以北では特急リバティも乗車券のみで利用できますが、途中で座席指定を受けた乗客が来たら席を譲って下さい。
運行時刻
- 下今市8時15分発→会津田島9時43分着
- 下今市10時46分発→会津田島12時24分着
- 下今市11時33分発→会津田島14時18分着
- 下今市16時15分発→会津田島17時46分着
- 会津田島10時43分発→下今市12時24分着
- 会津田島13時2分発→下今市14時28分着
- 会津田島15時0分発→下今市16時27分着
- 会津田島17時53分発→下今市19時21分着
※下今市を続けて発車し東武日光に向かう便も対象です(所要7分)。
アーバンパークライナー(せんげん台→大宮など)
浅草発のアーバンパークライナーはせんげん台から、大宮発のライナーは春日部から、柏発のライナーは運河から乗車券のみで利用できます。こちらは完全に普通の列車と同じ扱いのようです。
運行時刻
※全て平日のみ運行
- せんげん台22時0分発→大宮22時32分着
- せんげん台22時0分発→柏22時55分着
- 春日部23時0分発→運河23時28分着
- 運河23時28分発→春日部23時57分着
※2020年6月には再度ダイヤ改正が行われ、大きく増発される予定です。詳細時刻は追って掲載します。
わかしお(勝浦〜安房鴨川)
夜間など一部の特急「わかしお」は末端区間で普通列車に化けます。年々本数が減っていて、すでに上り列車は存在しません。
運行時刻
- 勝浦20時29分発→安房鴨川21時04分着
- 勝浦22時23分発→安房鴨川22時59分着
東海エリア
373系普通列車
特急「伊那路」などで使われる373系は普通列車での間合い運用が多数設定されています。「ホームライナー浜松3号」が普通列車に変わって豊橋まで行くのが有名ですが、ほかにもいろんな区間(天竜峡〜飯田間、熱海〜沼津間など)で行われています。
西日本エリア
はしだて(久美浜〜豊岡)
福知山から京都丹後鉄道に乗り入れて海回りで豊岡まで直通する列車は、久美浜から最後の1駅間は無料の快速列車に変わります。観光地の久美浜と城崎との間の移動で料金を取られないのはありがたいです。
運行時刻
- 久美浜15時22分発→豊岡15時34分着
- 豊岡8時51分発→久美浜9時3分着
- 豊岡17時0分発→久美浜17時12分着
京都丹後鉄道普通列車(MF100形ほか)
開業時から使われているMF100形は東北新幹線200系のお下がりの座席(簡易リクライニング)がそのまま搭載されています。ほかにも特急車の「丹後の海」や観光列車「丹後あおまつ」などの間合い運用も隠れているので要チェックです。
四国エリア
キハ185系普通列車(松山〜宇和島)
2000系気動車の導入で余ったキハ185系の一部は普通列車に転用され、松山以南の予讃線で走っています。車内は全てボックス配置ですが、勝手に回転させることができます。基本的にはリクライニング機構は殺されてますが、噂によればごく一部で使えるらしい(?)です。
↓乗車記も合わせてご覧ください↓
九州エリア
にちりん/ひゅうがなど(宮崎〜宮崎空港)
宮崎〜宮崎空港間では特急料金はかかりません*1。延岡方面の「にちりん」「ひゅうが」のほか鹿児島方面の「きりしま」や日南線の「海幸山幸」*2も対象です。そのほか、宮崎〜宮崎空港間の普通列車の一部にも特急車が使われています。
713系(宮崎エリア)
713系は宮崎らしい真っ赤な電車。単なる近郊形車両ですが、見た目に似合わず座席は485系からの発生品のリクライニングシートに取り替えられています。ちゃんとリクライニング機構も生きているようですが、窓割りは合ってません。車端部のロングシートも改良されていて快適です。
787系普通列車(佐伯〜延岡)
宗太郎越えの閑散区間を走る普通列車には乗客が少ないため単行の気動車が使われていましたが、あまりに利用者が少なすぎてそれをわざわざ持ってくることさえ無駄だということになり、2018年からはなんと全列車が特急車の787系になりました。上下線ともに一番前の車両のみ開放されますが、下り列車では先頭車となるグリーン車も自由席として営業しています。宗太郎に降り立った記念品として車内でグリーン券を買ってみても良いかもしれませんね。なお、重岡以北を走る区間列車は一般車両が使われます。
運行時刻
- 佐伯6時18分発→延岡7時26分着※グリーン車も営業
- 南延岡6時6分発→佐伯7時19分着
- 延岡19時33分発→佐伯20時43分着
かもめ(博多→吉塚)
通常の「かもめ」は博多止まりですが、朝の通勤特急「かもめ104号」だけは福岡県庁最寄りの吉塚まで走ります。この1駅間は普通列車扱いとなり、3分だけとはいえ運賃のみで乗ることができます。
運行時刻
博多8時28分発→吉塚8時31分着
みどり(早岐〜佐世保)
九州2箇所目の特例区間で、早岐始発の普通列車と接続するダイヤになっていることがあります。ただし早岐から先でも「ハウステンボス」の方は特例がありません。一駅くらい無料開放しても良いとは思いますが…
番外編:木次線代行バス(出雲横田〜備後落合)
中国地方随一のローカル線の木次線は、乗客が少なすぎて雪が積もったら春が来るまで冬眠してしまいます*3。その際には代行バスが走りますが、午後の便を中心にかなりデラックスなバスが使われることがあるそうで、深く椅子を倒して冬の奥出雲の眺めを満喫できます。また、バスが走るほどの乗客が見込めない際には鉄道の普通運賃でタクシーに乗れるというこれまたお得な体験ができます。
また2020年春まで運行されていた常磐線富岡〜浪江間の代行バスもリクライニングできる観光バスが充当され、大きな荷物はトランクで預かってもらえるなど、18きっぷユーザーでも素晴らしい待遇を受けられました。