鉄路を駆ける日々

日本全国鉄道旅行を楽しむ乗り鉄ブログ。乗車記・乗車テクニック・鉄道ニュースなど。時々飛行機も。

【乗車記】8600系特急しおかぜグリーン車乗車記<松山→多度津>【バースデイ四国豪遊(12)】

本日4度目の松山駅に帰って来ました。

ここから乗車するのは、JR四国の誇る最新型電車特急、8600系の「しおかぜ」です。

www.myrailwaytravel.net

※下のメニューから乗車記にジャンプできます

8600系について

 

JR四国の看板特急「しおかぜ」には主に8000系電車が使われていますが、かつては非電化区間からの直通列車を中心に2000系気動車も合わせて使われていました。しかし、毎日の過酷な運用により限界を迎えつつあった2000系の置き換えと走行距離軽減を迫られたJR四国は、宇和島からの直通列車を分断し「しおかぜ」を電車に統一することにしました。それに際して導入された特急用電車が8600系です。

かつては意欲的な車両を独自に開発してきたJR四国も、財政難から製造コストの削減を迫られるようになりました。そのため、213系に倣って設計された6000系以降、JR他社の設計を流用するようになりました。この8600系も同じく、車体構造はJR北海道の789系に、座席はJR東日本に似たものが使われています。それでも車両のデザインについては独自に行われており、「レトロフューチャー」をコンセプトとした斬新かつ洗練されたデザインになっています。

他社車両の設計の流用に加え、もう一つのコスト削減策として空気ばねによる車体傾斜方式を採用し、同時に傾斜角を小さくしました。従来の振り子式とは違い、構造が簡素で汎用品の台車が使い回せるため、より安価に速度向上を実現できるようです。傾斜方式が変わり傾斜角が小さくなったものの、これまでの8000系と同じスピードで走っており、横Gによる乗り心地の悪化が指摘されています。

こうしてコスト削減の努力がなされていながらも、E5系新幹線と同一品のグリーン席はとても快適だと評判になっています。

 

乗車記<松山→多度津>

f:id:tokyu2000_norurun:20190115201749j:image

前運用の「しおかぜ・いしづち5号」の入線は12時10分、折り返しの出発の僅か10分前のことでした。降車確認、車内清掃、座席回転と慣れた手つきで速やかに準備が行われ、3分前には乗車扱いが始まりました。その間に同じホームに入ってきたのは、宇和島からの特急「宇和海」。階段の上り下り無しで便利に乗り換えできるようになっています。

自由席はそれなりに混み合っていたものの、グリーン車には松山からの乗客はおらず、幸運にも貸し切りの状態を楽しめました。

f:id:tokyu2000_norurun:20181127151820j:plain

グリーン車は僅か12席だけの小さな空間です。横3列という余裕ある配置で、座面、背もたれ、枕ともに絶妙な柔らかさで極めて快適でした。列車には珍しいレッグレストも付いているので、足が疲れることはありません。

f:id:tokyu2000_norurun:20190115132539j:image

慌ただしく乗車扱いを終えて12時20分に松山駅を定発。俊足な8600系はあっという間に松山市街を駆け抜け、かつては国鉄の連絡船も発着した堀江を過ぎると、窓には一面に穏やかな瀬戸内海が広がりました。ここ堀江と呉線の仁方を結んだ仁堀航路は、終戦直後に混み合う宇高連絡船の輸送力増強のために開設されたものの、その輸送混乱が収まってからはローカル連絡船としてひっそりと運行され続け、やがて民間の呉・松山フェリーとの競争に破れて廃止を迎えたそうです。現在では石崎汽船の広島〜松山間やしまなみ海道が代替となっています。朝夕だけ特急が停まる伊予北条を華麗に通過すると再び海が迫り、「しおかぜ」の運行区間でも有数の線形が悪い区間となりましたが、車体傾斜の効果によりあまり速度を落とすことなく進んで行きました。

菊間を過ぎると徐々に瀬戸内海から離れて行き、愛媛県内での最北地点波止浜ではしまなみ海道の下をくぐりました。ここからは高縄半島を南下することになります。そんな波止浜の次の駅が、最初の停車駅であるタオルと造船の街今治です。松山からここまでは無停車でしたが、この間はなんと49.5kmもあります。これほどまで停車駅が増えたJR四国の特急ながらも、往時の特別急行の風格を感じさせる堂々とした走りが残っていて嬉しいものです。ここでグリーン車にも2名の乗車がありました。

f:id:tokyu2000_norurun:20190115203042j:image

今治の次の壬生川ではあまり乗降はなく、今治の街を抜け周囲は畑作地帯の様相を見せてきました。高縄半島の付け根をショートカットする小松街道と合流する伊予小松からは、列車名の由来にもなった石鎚山を横目に宿泊した伊予西条、そして今朝の「モーニングEXP松山」の始発駅新居浜に着きました。

f:id:tokyu2000_norurun:20190115150556j:image

貨物列車の発着もある製紙産業の街伊予三島では僚友の8600系「しおかぜ」と交換し、3分の遅れを受け継ぎました。とはいえ、列車本数と設備の貧弱さを考えるとここまで定時で来られたことはむしろ快挙だと思ってしまいます。次いで連続停車となる川之江ではグリーン車にも乗車があり、まもなく長い鳥越トンネルを抜けてうどん県(香川)に入りました。ここをはじめとした予讃線のトンネルは電化が考慮されておらず、その低さに対応するためJR四国の電車には特殊なパンタグラフが使われています。

こうして香川県に入った途端に、周囲にため池が目に付くようになりました。有名な満濃池は土讃線沿いにあるようですが…。途中にある臨時駅の津島ノ宮も目にも留まらぬ速さで過ぎ去って行き、あっという間に多度津に着いてしまいました。

最新の3列グリーン席はとても快適で、全く疲れを感じさせませんでした。特急「しおかぜ」に乗る際は、是非とも8600系の列車を選んで乗ることをお勧めします。

 

f:id:tokyu2000_norurun:20190115210744j:image

多度津からは、もう一つの看板特急「南風」に乗り換えて後免に向かいました。

 

<次の記事>

www.myrailwaytravel.net

 

本日もご覧下さいましてありがとうございました。